CONCEPT おおさかカンヴァスとは

大阪のまちをカンヴァスに! アーティストの自由な発想と感性、創作意欲を大阪で実現 アートの「力」で街の魅力を発信

「おおさかカンヴァス推進事業」は、大阪のまちをアーティストの発表の場として「カンヴァス」に見立て、大阪の新たな都市魅力を創造・発信しようとするものです。公共空間とアートのコラボレーションによって、都市や地域の新たな魅力を発見、発信することと、アーティストが、アイデアと想いを実現できる機会を得ることを目的に、平成22年度から始まりました。

「おおさかカンヴァス」の事業実施スキーム
審査員
建畠 晢
(たてはた・あきら)
埼玉県立近代美術館長
多摩美術大学学長
玉置 泰紀
(たまき・やすのり)
(株)KADOKAWA 2021年室 担当部長/エグゼクティブプロデューサー
(※審査員は2011年~)
ヤノベケンジ
 
現代美術作家、ウルトラファクトリー・ディレクター(京都造形芸術大学教授)
忽那 裕樹
(くつな・ひろき)
ランドスケープ・デザイナー
塩山 諒
(しおやま・りょう)
NPO法人スマイルスタイル 代表
(※審査員は2011年~)
谷口 純弘
(たにぐち・よしひろ)
FM802/digmeout
プロデューサー
(※審査員は2010年)
特別審査員
2015年
明和電機
土佐信道
代表取締役社長
2016年
増田セバスチャン
 
アーティスト、
アートディレクター

INTERVIEW 当事者が語るおおさかカンヴァス

おおさかカンヴァスは多くの方々の協力があってはじめて実現されます。
そのキーマンとなる方々にお話をうかがい、これまでのカンヴァスをふりかえります。

INTERVIEW01 第1回目から審査員を務めたヤノベケンジさんに聞きました。 INTERVIEW02 おおさかカンヴァスに携わった、3人のディレクターに聞きました。 INTERVIEW03 カンヴァスの現場をずっと支えてきたスタッフに聞きました。

REVIEW 特別寄稿

美術批評家として活躍中の椹木野衣さんに、おおさかカンヴァスについて評論いただきました。(執筆:2012年)

美術批評家、多摩美術大学教授 椹木 野衣 「街と並走するアート」

HISTORY おおさかカンヴァスの7年間の歩み

「おおさかカンヴァス」は公共空間でアーティストの想いを実現することによって、都市の可能性を広げ、大阪の新しい魅力を発信しようと2010年に始まりました。作品展示にあたって規制等のクリアすべきハードルがあれば、規制緩和等、できるだけそれらを乗り越えることによって、都市を使いこなし、誰もが表現できるまち・大阪を目指して実施してきました。
行政自らが規制に挑戦し、都市の公共空間をできるだけ活用する事業は他にあまり例がなく、またアーティストとして活動している以外の人たちの作品もアイデアで選ばれ展示されるなど、カンヴァス独自の視点から都市とアートの関係を問うてきた7年間でした。
「おおさかカンヴァス」が今年度で終了となるにあたり、次なる展開を目指して、これまでの歩みを振返ります。

おおさかカンヴァス推進事業 過去作品集
2016
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現代美術のアイコン“太陽の塔”に挑戦する作品を展開

「おい、太陽。」のキャッチコピーのもと、岡本太郎の“太陽の塔”に対峙する作品を募集。万博記念公園やEXPOCITY、万博記念公園駅を舞台に7作品が展示された。巨大な万華鏡で塔を風景の一部に取り込む作品や、太陽の塔そっくりに裸にペイントした姿でひたすら立ち続ける作品、巨大な風船で参加型福笑いを展開した女子中学・高校生の作品等が塔前の広場を大いににぎわせた。2010年、こけしの“花子”作品でカンヴァスに初参画したYottaは、2015年に「岡本太郎現代芸術賞」にて岡本太郎賞の受賞を経て、今回、太郎の対極主義を体現した作品を展示。最後のカンヴァスをおおいに盛り上げてくれた。太陽の塔に対するそれぞれの挑戦の姿が印象的な展示となった。

2015
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大阪のシンボルをカンヴァスに、都市の魅力を強く発信

水門で水位を安定させ、川面に近づくように遊歩道を設置する等、水都として充実したインフラを活用し、レーンに見たてた川へ回転寿司のオブジェを流す作品が出現。他にも、ニットで編みくるまれたアート船が川を走り、コスプレ観光大使が大阪ならではの風景を発信する等、シンボル的空間を十分に生かした8作品が登場した。潜水士や広告代理店スタッフ等、アーティストによるものではない作品が半分を占め、“美術という狭いカテゴリーが拡大され、新しくなる予感を持った”と審査員に言わしめた。

2014
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御堂筋をカンヴァスに、規制多き「道路」と向きあう

大阪の顔であるメインストリート・御堂筋を舞台に、最も規制の多い公共空間の一つである「道路」をアート作品の表現の場として活用する可能性を探った。20社を越える沿道企業の協力を得ながら、看板型の作品を壁面に展示したり、道路に面した寺院の大階段に巨大な影絵を展開したり。他にも、ビジネスマンに扮したパフォーマーが道路で踊りだすプロジェクト等、道路空間における新たな魅力を生みだし、アートとのコラボレーションの可能性を大きく広げた。

2013
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埋立地をカンヴァスに、アートで投資を呼びこむ

中之島の西の端(中之島GATEエリア)にある埋立地を舞台に作品を展開。倉庫が立ちならぶ、人通りのない場所に新たな魅力を引きだすことにチャレンジした。結果として翌年、この試みを知った、世界で活躍する劇団「維新派」が公演の場として実際に活用。さらに、その翌年には、鮮魚を販売し、レストランも併設する商業施設がオープンした。まずはアートで地域の新たな魅力を発掘、エリアの価値を発信し、投資を呼びこむ。欧米でよく見られる都市再生手法の小規模版の成功事例となった。

2012
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都市公園をカンヴァスに、祝祭空間へ変える

水都大阪フェスと協働し、中之島公園全体を舞台に11作品を展開。川へ向かってゴルフの打ちっぱなしを行うプロジェクトは、環境浄化機能を備えたボールを開発し、展示許可にこぎつけた。他にも、街なかで突然あめちゃんを配り、人生相談を始める「47人のオバチャーン」も初登場した。公園内の公衆トイレの一部を取りこみ、ホテルに改修する作品も出現(下画像参照)。宿泊するには法律等、クリアすべき課題も多く、最初は誰もが不可能と思ったプロジェクトだったが実現に至った。

2011
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大阪ならではのエリアをカンヴァスに

通天閣、中之島公園、アメリカ村、大阪城等、大阪ならではのエリアを舞台に、商店街やテニスコート、病院、デパートといった様々な公共空間とアートとの多彩な関係性を表現する43作品が展示された。なかでも、5年もの間、誰にも見せることなくコツコツと家屋全体を作品に変えてしまった空間が初めて公開されることに(下画像参照)。隠れた才能の発掘や、アーティストではない挑戦者が表舞台に登場するのも「おおさかカンヴァス」の特徴の一つとなっている。

2010
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大阪府全域をカンヴァスに

空港、公園、河川敷、銭湯等、府全域の多彩な公共空間を舞台に、本物の車をバックドロップするジャイアント馬場像や、巨大な箱を大勢の人の力で引き起こすプロジェクト等、23作品が展示された。なかでも、高さ13mのこけし作品は、付近の高速道路を走る車の事故を誘発するとして警察の許可がなかなか下りなかったが、支障がない旨を風船を作品と同じ高さに上げた実証実験で証明。展示にこぎつけた。以降、中之島公園にて高さのあるオブジェの設置が可能になる等、都市の可能性を広げる契機となった。

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