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artistreport

2016.10.03

interview「そのまま生身の人間で立ち向かうしかない」ちびがっつ

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ちびがっつさんの作品は生身の人間であるがっつさんが全身にペイントし、太陽の塔になりきって立ち続けるというものです。人間は塔のように立ち続けることは不可能だけど、立ち続けようと必死に挑むことはできます。人間という芸術作品の面白さを、太陽の塔と対峙しながら表現するのですが、食事は? トイレは? そもそも身体は大丈夫なのか、いろいろ気になることをお聞きしてみました。

ーーそもそもがっつさんが今回おおさかカンヴァスに応募しようと思った理由は?

いろんなアイデアを人に見てもらうというのが必要だなと思って、さまざまな公募に出しているんです。

ーー以前からおおさかカンヴァスに応募されていますか?

僕が個人で出したのははじめてですが、カンヴァスには過去に3回出展しています。2010年に気流部として参加したのがはじめてですね。

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この作品は森野晋次さんという大学のときの先生と僕ふたりで出しました。授業でやったインスタレーションが思いのほか面白くて、森野さんがくいついてくれて、いっしょにやらない?と誘ってくださったのです。19歳か20歳ぐらいだったのですが、その頃はアートがどうのとかいう意識がなくて。ストリートダンスをずっとやっていたので、ダンスがしたくて最初は断りました(笑)。

ーーそんな経緯があったんですね。

気流部の「AIR-JACK in 服部緑地」(2010年度おおさかカンヴァス出展作品)に関わってから、がっつり関わり出したんです。


ーー2013年のMuDAにも関わっておられますよね。

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MuDAはストリートダンスの共通の知人経由でMuDA代表のクイックさんと会って誘われました。

ーーでは満を持してのソロ活動ですね。

パンフレットを見て、太陽の塔とバトルするにはどうやったら面白くなるか考える中、もので勝負しにいっても、でかすぎて大きいものでないと負ける感じがしました。じゃあそのまま生身の人間で立ち向かうしかないのかな、そうなるとずっと立ち続けていたら面白いのではないかなと着想をしました。

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ものとして大きい作品を置くという発想は誰でも思いつくけれど、そうではなく僕にしかできない、生身で馬鹿馬鹿しくて、誰もやらないことができればと思っています。

ーー立ち続けるのってしんどいですよね。

絶対しんどいですよ。やったことないことに挑戦しようと思いました。路上パフォーマンスの方でパフォーマンスとしてやって稼いでいる方もいますが、それとは目的が違います。僕の場合は何の意味もないですから。立ち続けたからってなんやねんという感じですが、むしろそういうのが面白いかと思っています。

ーー何時から何時まで立ったままなのでしょうか?

9時半から5時までです。雨が降っても、傘をささず。寒くても立ち続けます。

ーー修行みたいですね。解脱できるんじゃないですか?

違った自分になるでしょうね。食事はとらないですが、水分は最低限、摂取するつもりです。やり方はまだ考え中なのですが。

ーーwebサイトをみていると、色々な表現方法で作品を発表していますがコンセプトはありますか?

一貫したコンセプトは「アートで大爆笑」というものがあります。アートって言葉や人種など、いろいろ飛び越えていける気がしていて、日本の人だけじゃない、大爆笑できる作品をつくれたらと思って芸術を続けています。六甲ミーツアートでも展示した「ジャンジャン合唱団」という作品をつくったのですが、涙を流して笑ってくれた方がいて、そういう経験から芸術、自分から出る表現ってすごく面白いなと感じています。

自分がおもしろいと思ったものがいろいろありまして、今は京都の町家に住みはじめて、そこで毎月、展覧会をしています。自分のアトリエがほしかったので、住居兼アトリエとして、マンスリー町家ガッツというものをはじめています。

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美術作家やストリートダンスの友だちなど、ジャンルを問わずいろんな人が参加しています。

ーー今回のカンヴァスで叶えたいことはどんなことでしょうか?

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みんな万博記念公園の入り口に入ってすぐ、太陽の塔ばかりを撮影するので、言い方が悪いのですが邪魔していきたい。46年前からずっと、いつまで太陽の塔ばっかり撮っているねんと。過去のコンテンツに頼りすぎているようにも思うので、それよりも現代のおもしろい人間に目を向けてというメッセージを込めています。

そして、もっと芸術を身近に感じてほしいという思いが僕の中であって。町家ガッツでやっていることもそれが根本にあります。わけがわからないけれどなにか面白かったと思ってもらいたい。僕の作品を通して元気とか勇気とかを与えられるきっかけになればと思います。