2016.11.11
interview vol2「作品を観にきているはずなのに、自分が観られている」ニシハラ☆ノリオ
10月22日、作家のニシハラ☆ノリオさんに作品《太陽の根っ子のカブリくち》の感想を聞かせていただきました。
(作品が完成する前のインタビューはこちらで読めます)
ーー作品が完成したと感じたのはどんなときですか?
最後の色ができたときですね。かぶりものは全部ハケで塗っています。《太陽の根っ子のカブリくち》は白には塗りたくなかったんです。
実はあの作品の色は白じゃなくてグレーなんです。そのグレーの中でもどんなグレーがいいかでかなり悩みました。色鉛筆で塗ったり、パソコン上でつくってみてもわからないので、自分で色をつくっています。
決まるまでに6回ぐらい塗っています。塗ってからこの色じゃないな、と思って結局12回ぐらい塗り直しています。その色ができたときに完成した気分になりました。ベロの部分も赤じゃなくて茶色なんです。《太陽の塔》は白と赤で構成されていますが、根っこの部分は違う色にしたかったんです。色で失敗するときが多いので、意外と配色に時間がかっていますね。
ーー作品を配置したときはどんな気分でしたか?
東京からハイエースで運んできて、朝に太陽の広場の芝生の上に置かせてもらったのですが、最高でしたね。「いいのかな」という気分でした。《太陽の塔》に向かって置かせていただきますと言いました。以前のインタビューでもお話しましたが、《太陽の塔》に勝手に呼ばれている気がしていましたから。
ーーお告げだったのですね(笑) 実際に《太陽の塔》の前に来てみてどうでしたか?
「やばい!」と思いました。そんなに考えなくてもいいと思いますが、絶対に《太陽の塔》には敵わないと思っていたところ、誰かに「負けてないよ」と言ってもらえるまで不安でした。勝ち負けではないと思いますが、誰かに言われるまでは怒られるんじゃないかと思いながらつくっているときがありましたから。
ヤノベさんに、「一対一じゃ負けちゃうけど、負けてないよ」。と言ってもらえよかったです。勝ち負けではないと思いますが。
ーー誰かに怒られました?
いや、ぜんぜん。みなさん、良い反応でした。大阪のおばちゃんの反応が面白くて、かたっぱしからかぶってみて、「ちょっとかぶり方を教えて!」とよく言われました。東京のおばちゃんの反応も面白くて、「私が一番似合うわよ」という方が多数おられますね。
ーーパレードは大盛況でしたね。
面白かったです。ワークショプで参加者それぞれが気に入った「カブリもの」をつくってパレードしました。一般的に行われるハロウィンパレードは何かを模した仮装だけど、このワークショップで作られた「カブリもの」はオリジナルのものだから。
今まで、音とあわせて発表することはここまで大きな規模のものはなかったのですが、僕、打楽器が大好きなんです。「WalaBooK?! (ワラボーク)」(インタビュー当日のワークショップに出演した楽団。翌週は「タムタムカンパニー・ジェンベオーケストラ〜鳴り物入り編〜」が出演。)のみなさんもすごくかっこよくて! すごく僕の作品に合っているし、アフリカっぽくなってましたもんね。竹馬に乗って《太陽の塔》に向かうなんて涙もんでしたね。《太陽の人》のちびがっつさんも、音に合わせて一緒に踊ったり、パレードに飛入り参加してくれて、面白かったですね。
ーー《太陽の塔》の存在はどうですか?
すげぇパンクな仏様に、ずっと、ちら見されている感じでした。そもそも《カブリもの》を並べて展示し、来場者がかぶりながらわーわーと言っている状況を作って、《太陽の塔》を振り向かせるというのもあったし、ほかの出展者さん達の作品と一緒に展示している様が全体としてすごくまとまっていて、おこがましいけれど《太陽の塔》もひっくるめて一体感を感じました。《太陽の塔》がそこに在るから、そうさせたんですよ、きっと。異物混入はあり得るんだけど、そもそもあれ自体が「異物」だから。
《太陽の塔》って、「かっこいい!」とか、「キレイだな。」とかではなく、なんか観たら「うわぁ〜」っていう胸のあたりがざわざわする。地方のパンク大仏のような存在。《太陽の塔》が大好きな僕の個人的な萌えポイントは、黄金の顔を支える支柱の、あの「むき出しさ加減」。格好良すぎます!
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