震災の記憶を受け継ぐ3.5メートルのブランコ
東日本大震災の津波で流された仙台若林区の防風林の松の木を使い、高さ3.5メートルのブランコとして組みあげた作品。作者は昨年の夏、現地に滞在して作品を制作した。震災直後に山積みされていた松の倒木は、現在はすべて片付けられたが、ブランコとしてその記憶をとどめ、そこに乗り、身を任せる人々に何かを伝えようとする。
[協力]
【展示までの経緯】
宮城県仙台市若林区で地元の方々の協力のもと被災した防風林を使った作品を大阪に運び、展示した。 当初、解体を想定せずに作られた作品であったため、仙台で解体・運搬するためのスタッフを派遣し作者と共に作業した。また、東日本大震災で流された木材で組まれた作品の安全性については、現地仙台ですでに確認されていたものであるが、念のため大阪においても放射線量を測定し、あらためて安全性を確認した。
仙台での作業風景
【現場設置から完成までのイメージ】
【作品発表前の一般紙新聞取材】
これまで、アート作品で社会への問いかけをしてきた作者の取組みが一般紙記者の目にとまり、作品公開前にも関らず府立江之子島文化芸術創造センターで取材を受けた。
「後世に震災の記憶が伝えられるように」「ゴミを扱う自分たちだからできる復興支援をしたい。」という、作品にこめられた作者の思いは、作品の写真とともに紙面を通じて広く伝えられた。
【作品展示】
今回の作品は、実際に乗って楽しめる作品だったので、大勢の方に体験していただいた。
また、展示期間中には、おなじくカンヴァスに参加の西野達さんの作品である「ミラーボールマン」がブランコに乗り、作者の柴田さんにインタビューすると言う場面もあった。
柴田英昭(1976年岡山県生まれ)と松永和也(1977年熊本県生まれ)により2003年に結成されたアートユニット。
大阪・淀川の河川敷を主な活動場所として、落ちているゴミや漂流物などを使い様々な作品を制作する。
赴いた土地ならではのゴミや人々との交流を楽しみながら行う滞在制作も得意とする。