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  • DATE2012年10月13〜21日
    10:00 - 18:00
  • PLACE中之島公園(水都大阪フェス2012会場)

中之島ホテル

西野 達

PHOTO

公共空間がプライベート空間になる“未知の体感”

中之島公園内、バラ園にある公衆トイレの一部を取り込んでホテルを建設し、宿泊できるようにする作品。作者は広場の銅像や道路照明灯などを囲んでホテルや個室にしてしまう作品を世界各地で展開し、大きな話題を集めている。公園の公衆トイレをホテルに、という異質なものが共存する驚きや意外性を投げかけるとともに、公共空間をまったくのプライベート空間として経験するという“未知の体感”を提供しようとするプロジェクトである。

[特設ページ]
中之島ホテル http://nakanoshimahotel.com/

[協賛]
       
[協力]
アトリエぶぶ あみだ池大黒 城陽ダイキン空調 全日本ブラシ工業協同組合


【制作過程】

作品の基となったスケッチはこちら。

「ホテル」建設においては、公共空間を活用したプロジェクトであることから、公園管理者や所轄の警察署など行政各機関との調整が必要であり、その都度プランの変更をしながらの実施となった。また都市公園法や建築基準法など合計7つの法律や条例について調査を行い、種々申請等手続きを経て実現した。

作者のこれまでのプロジェクトにおいては、通常下水道設備への費用負担が莫大にかかるが、今回は既存のトイレを使用することからある程度費用を抑えることができた。


アメニティなどの備品については、「大阪産(もん)」を打ち出し、地場産業であるタオルや大阪の銘菓をはじめ地元の企業協賛を得ることができた。また、内装や家具などについても、企業協力を得られることができた。
また、レセプションには、大学で観光を学ぶ学生を起用し、一流ホテルのプロのホテルマンから現場のノウハウやサービスを学んでもらい、より快適な「ホテル」を演出した。
宿泊体験費用は無料であるが、体験者には良質のオリジナルバスローブを実費購入いただき、ハイクオリティの「ホテル」に滞在する気分を味わってもらった。



【現場設置から完成までのイメージ】

10/5の朝に施工開始。プロジェクトの始まりは掃除から、という事で「ホテル」の床面となる既存トイレ建物の内部や入り口階段部分を磨きあげた。
10/7の夕方に「ホテル」の壁が作られはじめ、10/8には外壁が黒く塗り上げられた。
10/10ホテル宿泊者抽選(9/28〜10/9募集)、全国からの応募総数42組から作家自身による抽選で8組が決定。
10/10家具搬入
10/11防音・防臭対策として、壁・天井の補強工事。


【作品展示のページ】

工事期間を含む設置期間中は、万一に備えて夜間も安全管理のためのスタッフを配置。公開期間中、大雨による雨漏りが発生し、屋根の改修を余儀なくされるなど、屋外展示ならではの対応を行った。「ホテル」内部の一般公開時には、最大待ち時間30分にもなる長蛇の列ができ、行列が話題を呼んで、新聞各社やテレビ番組からの取材が多く入った。

【協力してくださった大阪観光大学さんの感想】

本当にやってよかったプロジェクトでした。

最初、ご縁のある方から僕にこの話が来た時、
ホテル業界を目指す学生にとって
府が主催のイベントで世界的なアーティストの作品の一部として
関わるなんてことは、まあ超稀な機会だし
最高にいい経験になるだろうとは思ったけど
1日1人5時間ボランティアで立ちっぱなしで業務を
複数回やるなんてことは並大抵のことじゃない。
授業じゃないので単位もない。

学内で募って集まるのか
やってはみたものの、あまりのハードワークで途中で投げ出すんじゃないか

そんな心配をよそに
9人の学生が志願してくれて
学内、学外の事前研修にも積極参加してくれ
本番当日はそれぞれ業務を報告し合って
改善点も提案してくれて
最後にはやってよかったと言ってくれたのが
本当にうれしかった。

全日程を終えた結果、
連日数百人の見学者対応をこなし
(あまりにも学生と思ってもらえないので、途中で大学の名札を着ける事態にw)
メディアにも取り上げられまくれ
(取材に立ち会って大学のプレスリリースを手渡してw)
大学名の露出もかなり増え
(ホテル前の看板みて「大阪観光大学なんてあるんや~」っという声が悲しかった)
最高の結果を残してくれました。

自画自賛になるけど、
うちの学生はほんとすごい。
そう確信させてくれるプロジェクトになったと思います。
(大阪観光大学企画広報課 Aさん)

(コンシェルジュとしてお手伝いいただいた学生の感想)

学生A君
ありがとうございました。
Aさんの文章(上記)を読んで、改めて参加して良かったなとウルッと来ました!
また何か機会がありましたら、是非ともお声掛け下さい!

学生Bさん
こちらこそありがとうございます!!
岸田さんに声をかけていただいたので
このようなイベントがあることも知れたし
何より参加してみんなで情報共有して…
いろいろと自分にとってプラスになることが
多かったです。
また何かあったら喜んで参加するので
声かけて下さい!

学生Cさん
1回生なのにこんな貴重な体験をさせていただけたことに本当に感謝してます。ありがとうございました。

関連リンク
アーティスト情報
西野 達

1960年、名古屋生まれ。現在、東京及びベルリン(ドイツ)在住。2005年「横浜トリエンナーレ2005」、「Ecstasy」MOCA(ロサンジェルス、USA)、2006年「天上のシェリー」メゾンエルメス(東京)、2007、2009「Estuaire」ナント/セント-ナザレ(フランス)、2010年「愛知トリエンナーレ2010」等に出品。銅像などの周囲に居室やホテルを仮設で設けるなど、公共空間を使った大がかりなインスタレーションを世界各地で行っている。昨年は「シンガポール・ビエンナーレ」に参加し、マーライオン像を取り込んでホテルを建設/営業するプロジェクトで大きな評判を呼んだ。今年はベルギーのゲント市の駅舎の時計台を使った「Hotel Gent」が、「TRACK」の出品作として秋まで開催中。新潟の「水と土の芸術祭」では、新作プロジェクト「知らないのはお前だけ」を展示している。ニューヨークのマンハッタンでも11月18日まで続く大型プロジェクト「Discovering Columbus」がオープンし、10万人の観客が予想されている。