作者は日本で都市計画やデザインを学んでいるブラジルとポルトガル出身の女性3名。彼女たちが中之島公園内を移動しながら、参加者のリクエストに応じて記念撮影をする。参加者は自分が写った写真の上に大阪の名所や名物などの「切り抜きパーツ」を自由に組み合わせ、自分なりの写真をポストカードにして楽しむことができる。中之島公園をバックにその人だけの「大阪」をつくり上げ、そこに現れるイメージの裏に隠された人々の「記憶」を共有しようというプロジェクト。
【作品制作過程】
この作品をつくるにあたっては以下3つの要素について検討した。
1.写真を使ったシステムの開発
2.「切り抜きパーツ」の素材となる写真の収集方法
3.パフォーマンスのためのハードウェアの製作
1.写真を使ったシステムの開発
|
【企画案レジュメ(概念図など)】 |
【画面仕様書の一部】
2,「切り抜きパーツ」の素材となる写真の収集方法について
まず作者が9月上旬に来阪し、此花地区の街歩きイベントに参加した。ここで知り合った参加メンバーから写真を収集することをスタートとして、他にfacebookやtwitter、Instagramなどを使用して、不特定多数への呼びかけを行なった。
【此花地区での街歩きへの参加風景】
【写真をInstagramで集めるためのポスター】
【東京大阪間でのskype会議の様子】
3.パフォーマンスのためのハードウェアの製作
屋外におけるパフォーマンスであることから、カートの上にコンピューターシステムを搭載したまま移動が容易にできる仕様と、参加者の待ち時間を少なくするための工夫を行なった。
検討と試行錯誤の結果、独自にカートを製作することとし、撮影用のカメラ、参加者のインターフェイスとなるi-Pad、ポストカードを出力するプリンターがシームレスに稼働する方法として、WIFIルータを使用したシステムを構築した。
【カートデザインイメージ1】
【カートデザインイメージ2(CADソフト図面から)】
◯課題と解決策
・システム整備とその環境
移動型システムを屋外を移動しながら使用するにあたって、さまざまな条件や要因がネットワークシステムのトラブルを引き起こすことが懸念された。スマートフォンやタブレット端末などは技術的な進歩も早いためユーザビリティやデザイン面で新しいシステムをそのたびに構築できる。その一方で脆弱な技術でもあり、実際に事務所内やテストでは稼働していても現地では動かないなどのケースがあった。しかし多くの場合は新しい技術などを使う事で解決できた。
【プロジェクト出動】
初日、二日目はマシントラブル等が多く発生し、撮影からプリントアウトまでの時間が長くなってしまった。このことで、トラブル解決までの時間、大阪に住む参加者と海外育ちで陽気な作者たちが直接話をする機会が多くなり、活発なコミュニケーションを生みだすこととなった。
3日目、4日目になるとシステムは安定して稼働するようになり、より多くの参 加者に楽しんでもらうことができた。派手な衣装に身をつつみ、たどたどしい大 阪弁のアナウンスをBGMと共に響かせながらカートを引く彼女たちのまわりには 長い行列が出来上がったが、参加者たちは彼女たちとの会話を弾ませながらも、 思い思い「自分だけの記念写真」づくりを楽しんだ。
【来場者が作品にふれあっている姿】
私たちは、東京大学大学院工学、建築学科へ大学院生です。マリアとリアは、12年間お互いを知っている。マリアは、4年間のリタの友人です。リアは2010年に日本に来た時、リタの同僚となった。2011年以降、我々は同じ研究室で一緒に勉強します。私たちは日本建築は大好き!私たちは大阪カンヴァスに参加することを楽しみにしています!