中之島公園内、バラ園にある公衆トイレの一部を取り込んでホテルを建設し、宿泊できるようにする作品。作者は広場の銅像や道路照明灯などを囲んでホテルや個室にしてしまう作品を世界各地で展開し、大きな話題を集めている。公園の公衆トイレをホテルに、という異質なものが共存する驚きや意外性を投げかけるとともに、公共空間をまったくのプライベート空間として経験するという“未知の体感”を提供しようとするプロジェクトである。
[特設ページ]
中之島ホテル http://nakanoshimahotel.com/
[協賛]
[協力]
アトリエぶぶ あみだ池大黒 城陽ダイキン空調 全日本ブラシ工業協同組合
【制作過程】
作品の基となったスケッチはこちら。
「ホテル」建設においては、公共空間を活用したプロジェクトであることから、公園管理者や所轄の警察署など行政各機関との調整が必要であり、その都度プランの変更をしながらの実施となった。また都市公園法や建築基準法など合計7つの法律や条例について調査を行い、種々申請等手続きを経て実現した。
作者のこれまでのプロジェクトにおいては、通常下水道設備への費用負担が莫大にかかるが、今回は既存のトイレを使用することからある程度費用を抑えることができた。
【現場設置から完成までのイメージ】
10/5の朝に施工開始。プロジェクトの始まりは掃除から、という事で「ホテル」の床面となる既存トイレ建物の内部や入り口階段部分を磨きあげた。
10/7の夕方に「ホテル」の壁が作られはじめ、10/8には外壁が黒く塗り上げられた。
10/10ホテル宿泊者抽選(9/28〜10/9募集)、全国からの応募総数42組から作家自身による抽選で8組が決定。
10/10家具搬入
10/11防音・防臭対策として、壁・天井の補強工事。
1960年、名古屋生まれ。現在、東京及びベルリン(ドイツ)在住。2005年「横浜トリエンナーレ2005」、「Ecstasy」MOCA(ロサンジェルス、USA)、2006年「天上のシェリー」メゾンエルメス(東京)、2007、2009「Estuaire」ナント/セント-ナザレ(フランス)、2010年「愛知トリエンナーレ2010」等に出品。銅像などの周囲に居室やホテルを仮設で設けるなど、公共空間を使った大がかりなインスタレーションを世界各地で行っている。昨年は「シンガポール・ビエンナーレ」に参加し、マーライオン像を取り込んでホテルを建設/営業するプロジェクトで大きな評判を呼んだ。今年はベルギーのゲント市の駅舎の時計台を使った「Hotel Gent」が、「TRACK」の出品作として秋まで開催中。新潟の「水と土の芸術祭」では、新作プロジェクト「知らないのはお前だけ」を展示している。ニューヨークのマンハッタンでも11月18日まで続く大型プロジェクト「Discovering Columbus」がオープンし、10万人の観客が予想されている。