~川にやさしい「ボール」の開発~ 水質汚染をふせぐため、一般に川にモノを投げ入れる行為は厳しく禁止されるが、今回は川の中に打ち込む「ゴルフボール」の材質や形状を、最大限水質に配慮したものとすることを条件として、特別に許可を得るべく河川管理者との協議を続けた。 川の水質改善を目指す作者は、本作品実施に協力してくれる企業と共同で素材の研究を重ね、より「ゴルフボール」らしく作りこむための色、形状、硬度について試行錯誤を繰り返した。 最終的には金型を作成し、流し込んだ白色の樹脂で覆うことにより、ゴルフボールに似せ、品質を一定化することに成功した。 |
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浄化ボールの試作品 |
事前調査で水位を計測中 グリーン製作の様子 トライアルによる確認作業 トライアルによる確認作業 |
~「グリーン」の配置~ 河川を一時的に使用することについて、安全面の観点から提示される課題をクリアするべく河川管理者との協議を重ねた。 「グリーン」は川を運行する船の妨げにならないよう、機動性が高いゴムボートに人工芝を貼り付け、万一に備えスタッフが乗り込んで川に浮かべることとした。参加者は川に浮かんだ「グリーン」めがけてボールを打ち込んでもらってホールインワンを狙うことになる。 また、ゴムボートを一時的に川に停留させることについて、舟運事業者など関係者への情報提供を行い、安全に実施にすることについてのご協力とご理解を求めた。 実施の一週間前、現場でトライアルを実施したところ、おもいのほか、川の流れが速く、より安全に停留できる場所を模索したり、アンカーの固定方法を改善するなど、最終的な調整を行った。 |
体験の様子 |
【作品発表】 開催にあたっては、オリジナルスタッフ以外にこのプロジェクトに賛同した関係者から当日ボランティアの申し出をいただいて、にぎやかな開催となった。 護岸が浸水している時間帯は実施できないため、水位予測で150センチ以内の時間帯に集中的に実施することを決定。また「ゴルフボール」の数に限りがあるため、参加希望者に対して事前に整理券を発券して順次参加していくこととした。 現場は予想以上のギャラリーで大にぎわいであったが、付近中之島公園内の芝生への負担を軽減するため、なるべく人の動線や停留場所が固定されないように誘導したり、付近の橋の上から観覧する人の安全管理のためスタッフを配置した。 順番に護岸部分に入る参加者に対して、安全にかかる注意事項とあわせ、作者がこのプロジェクトに託した想いや、環境に負荷をかけないように研究したボールの素材について説明をおこなった。またギャラリーからも「ボールは後で回収するのか?」とか「普通のボールと何が違うのか?」と質問が多く河川環境に対する関心の高さが伺えた。 また、河川にポッカリと浮かぶグリーンの中に人がいることが分かった途端にギャラリーの中からも驚きと笑いが起こり、体験しても、見ても楽しめる作品となった。その様子は一般のメディアのみならず、「環境に負荷をかけないゴルフボール」に興味をもったゴルフ専門誌からも取材をうけるなど、さまざまな場面で話題を提供したようだ。 |
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