川を巡る地域の言葉
横堀川周辺には北船場など大阪の文化と歴史が色濃く集積している。アーティストはそんな地域の人たちにかつての暮らしや川、地元への思いについてインタビューを行い、印象的な言葉を選んだ。「船場ことば使ってたんは2代うえやなあ」「大昔、高麗橋の下が水泳場で、子供がぱちゃぱちゃやってたん」といった言葉をオブジェにして緑道や護岸に展示。訪れた人がゆっくりと空間を味わうための椅子も80脚並べられた。
インタビュー等にあたっては、川を活かしたまちづくりに取り組む地元の“e―よこ会(東横堀川水辺再生協議会)”が全面協力。公共空間をいかに育み、使いこなしていくかという課題に取り組んできた人々にとって、今回の作品は自分たちが紡いできた文化を再発見し、地域の可能性をさらに開くヒントにもなったようである。
東京都生まれ。現代美術家/東北芸術大学グラフィック学科准教授
多摩美術大学絵画科油画専攻大学院修了。90年代後半よりインスタレーション、プロジェクト、絵画作品をギャラリー、美術館、ビエンナーレなどで発表。2000年から文化庁在外研修およびポーラ美術振興財団在外研修にてドイツ・ベルリンに滞在。 主な活動として、地域の人々とのコミュニケーションを通して得られた「ことば」を絵と共にパネルに描き、歴史的建物や、地域一帯の窓を埋め尽くすプロジェクト『Signs of Memory』を世界で展開。シンガポールビエンナーレ、ハバナビエンナーレをはじめ、ドイツ、日本、ブラジル、中国、香港、台北など国内外で発表。企業や行政、教育機関などとのアートコラボレーション、ワークショップ等も行っている。デザイン、アート、プロジェクトを社会に投じる団体comport(コムポート)を2012年から展開している。