らせん状の音に囲まれる巨大木琴
らせん状に組まれた木片でできた楽器に、ボールを転がせて音を出したり、木琴を組み替えて自分だけの曲を作ったりと、木が奏でる響きを楽しもうという作品。「かえるのうた」のメロディを基本形とし、時間差でボールを転がすことで輪唱を楽しむこともできる。木が出すふくよかで豊かな音が都心の公園でどう響き渡るのか、耳を澄ませてほしいという作者の願いが込められている。
【制作過程】
※7月下旬
作者とおおさかカンヴァススタッフとの初顔あわせ。打ち合わせでは、
・屋外展示となるため雨天時の対策
・設置場所となる芝生への負担軽減のための配慮が必要であること
・こどもに楽しんでもらうための安全配慮が必要であること等の課題を共有。
まだまだ多くの課題はあるものの、10月の作品発表でたくさんの人たちに楽しんでもらおうと目標を立てた。
※8月上旬
2回目の打ち合わせ。作品図面と小さい模型を使って、イメージを伝える作者のつちやあゆみさん。木の種類によって音質が大きく代わることから、木材の選定は慎重に行い、より良質なものを求めて直接木工所に出向き交渉を重ねてきた。
※9月初旬
本格的に制作開始。時間の制約がある中、連日アトリエでの作業。加工は全て作者自らが行い、安全面に配慮するための仕上げ作業や鍵盤の音調整などにはことのほか時間を要した。
【現場設置から完成までのページ】
※現場での設置作業
作品の基幹部分は組み立て式で5パーツに分割することができ、円形・S字などに変形が可能な構造。1パーツは女性でも持ち運びできるサイズであるが、組み立てると横幅が2メートルを超える大きさになる。
作品を設置する中之島公園内の芝生部分は緩やかな傾斜が続いていること、また芝生分への負担を軽減するため、なるべく平坦で安定した設置が可能となる場所を求めつつ前日とは別の場所を毎朝選定した。
加えて、どうしても傾斜の影響が出てしまう部分は作品の底部に金具を差込むことで修正を図った。
また、芝生面が湿っている場合はブルーシートを敷いて作品を保護したり、急な雨が降り出した際には、すぐに分割して移動させるなど、天候などの諸条件にあわせて柔軟に対応した。
【中之島公園での作品展示】
作者の狙い通り、大人も子供も楽しめると話題作品のひとつになった。
中之島公園では、木の優しい音に引き寄せられ多くの親子連れや子どもたちに大人気で、連日木琴の音色が途絶えることがなかった。