"巨大な構造体を“引き興す
大阪を象徴する場所で、鏡張りの巨大な構造体を大勢の参加者と“引き倒す”ことを目的としていたプロジェクト。中央公会堂前、大阪城公園、万博公園の3カ所が予定されていたが、第2回、大阪城での開催は東日本大震災の翌日だった。家をモチーフとした構造体を引き倒す行為にためらいを感じたアーティストは、スタッフや周囲の人々と話し合い、この日の実施は見送った。翌日、できるだけゆっくり、大きな音をたてずに構造体を立ち上げようと、大勢の人と気持ちを合わせて実施された。最終回の万博公園も含め、プロジェクトは“引き興す”協働作業へと変化することになった。
大勢で力を合わせ構造体を動かそうとする行為から生まれる高揚感や緊張感は、我々人間の協働性がもともとはらんでいた原初的な感情かもしれない。そんな荒々しい体感を都市の真ん中で実現するプロジェクトは、都市の規制やルールを越えてどこまで行こうとするのだろう。
1984年埼玉生まれ。武蔵野美術大学卒業後、東京藝術大学大学院絵画専攻油画修了(M.F.A.)。2007年、当時住んでいた自分と友人の部屋の間取りを合体させた構造体を引き倒す