2016.09.22
interview「作品を観にきているはずなのに、自分が観られている」ニシハラ☆ノリオ
9月11日、万博記念公園へ現地調査中に訪れていたニシハラ☆ノリオさんにお話を聞かせていただきました。ニシハラさんは太陽の塔には、必ず根っ子があるはずだ!とのコンセプトから、《太陽の根っこのカブリくち》に頭をねじ込んで太陽の塔を逆さに見ることができる、ユニークな形状のオブジェを芝生上に設置し、自由にかぶれる《カブリもの》も多数展示される予定です。また、会期中の週末は、新聞紙でカブリモノを作って、楽団と楽しくパレードをする「カブリモノワークショップ」も開催します。
ーー万博記念公園に来られるのははじめてでしょうか?
いえいえ、大阪に来るたびに必ず寄って、太陽の塔参りみたいな感じで拝みに来ていますよ。実は太陽の塔の内部にも入ったことがあります。以前、江戸東京博物館で開催された「ザ・タワー」展のときに太陽の塔と絡む企画がありまして、中を見せてもらう機会に恵まれました。《生命の樹》がかなり傷んでて朽ち果てていました。
(「ザ・タワー」展)
ーーその太陽の塔への思い入れはどこから来るのですか?
小学校のときの絵の授業の時間に、まず下書きをして、色をつけて、と手順を先生に押し付けられたのが嫌いで、なんでだろうと思ったんです。下書きだけすごく細く描いたら褒められて、型にはめられているような気分でした。その後、岡本太郎さんの著書『自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか』を読んで影響を受けました。先生の言う順番なんて守らなくて良かったんだと思って。だからすごく思い入れがあります。
ーーどういうきっかけでアートの道に進まれたのでしょうか?
音楽に打ち込んでいた時期もあるのですが、だんだん美術に移ってテレビの制作会社に入社したんですよ。日テレの制作会社で「世界まる見え!テレビ特捜部」や「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」などを制作するバラエティ班でかぶりものなどの小道具やセットを制作していました。
「世界まる見え!テレビ特捜部」は隔週で2本撮りなので、かぶりものは2個あれば十分なのですが、ビートたけしさんからは6個発注依頼が来るんです。6個かぶりものをつくって4個ボツになるんです。当時3人でかぶりものをつくっていたのでメンバー内で勝負が生まれてました(笑)。全然家に帰れなかったです。その死に物狂いの10年間があったので、制作スキルがあがったと思います。
ーー今のような作家活動をされたのはいつ頃でしょうか?
2004年です。33歳で結婚して会社を辞めました。寿退社ですね(笑)。機械的に頼まれたものをつくるのはもう無理かなと思って独立しました。造形物をつくる会社に間借りさせてもらったりしてフリーで仕事をとってきていたのですが、あるとき酔っ払ってすっ転んで骨を折ったときに、とうとう美術の世界も卒業だ、と思ったのですが、運良く食いつないで今があります。だから最初から好きなことをやっている作家さんに比べると、みんなとスタートが逆でだんだん好きなことに近づいている気がします。
ーー今回サポートされるTASKOさんとはどういうつながりなのでしょうか?
小森さん 弊社スタッフの北澤がノリオさんといっしょに前述のタワー展に参加していて以前から知り合いだったんです。
ニシハラさん おおさかカンヴァスに応募する際、ひとりだとたいへんだなと思って北澤くんに相談したんですよ。こんな絵を見せて、やろうやろうとなりまして。
ーー今回のおおさかカンヴァスに応募しようと思ったきっかけは?
2012年に水都大阪の関連イベントで、コタケマンのセルフ祭りに参加したんです。通天閣のかぶりものをかぶって、大阪府立江之子島文化芸術創造センター/enoco(以下、enoco)から通天閣に向かって歩きました。街行く人から串カツとか、いろんなものをもらいましたよ。
ーー奇妙な? 不思議な? 経験をされてますね(笑)
そうなんです。enocoに呼ばれてカンヴァスを知ってタイミングをみていたところ、今回、舞台が万博記念公園で。岡本太郎さんの太陽の塔だ!と思って、TASKOの北澤くんに相談したわけです。
ーー作品の進行状況はどうでしょうか?
今回は旧作の他、新作も1点展示し、合計50作品ぐらいを展示予定です。現在、新作のデザイン画を描いて、粘土でマケット(雛形)をつくったところです。約20日間で完成させようと思っています。
ーー普段、どういう事を考えて作品づくりを行われていますか? 作品制作についての姿勢を教えてください。
観てるだけではなく、体感できることをコンセプトに作品を制作しています。金沢21世紀美術館(2007年ニシハラ☆ノリオ「アートを乗っけてお祝いパレード」 まことクラヴと行く!金沢散策ツアー「金沢遊演」)での作品で言えば、カブリモノをかぶって館内を自由に歩き回ったり、街の散策ツアーに出かけたりと、観に来ているはずなのに、その人が観られているみたいな、自分が作品になるような、そういう変な時間が起きると面白いかなと思っています。パッとみてすぐ答えがわかって、馬鹿みたいと思ってくれたら大成功です。作品を実際に手にとって、かぶるまでの行為というか、その時間が好きなので参加者にも楽しんでもらいたいです。
ニシハラ☆ノリオ カブリモノワークショップについて
開催日:10月22日(土)、23日(日)、29日(土)、30日(日)
開催時間:各日13:00-15:30 (受付開始12:30〜)
材料費:500円(テープ代として)
対象:小学生以上 定員:25名
お申し込み方法:WEBサイトにて要事前申し込み。
*募集開始は10月以降を予定していますのでもう少しお待ちください。
詳細が決定次第、おおさかカンヴァスWEBサイトやfacebookページなどにてお知らせします。
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