新着情報 NEWS

artistreport

2014.10.10

立命館大学スタジオデザイン研究室
御堂筋ビルボーディングのみなさんにお話を聞きました

s_R0013347

このチームはどんなふうに結成されたのですか?

堀口先生「もともとわたしのゼミの生徒です。立命館大学の建築都市デザイン学科の院生と学部生で構成されています。企業と連携して京都にある古いビルのリノベーションを企画・設計段階からユーザーを発掘し、巻き込みながらデザインする方法に取り組んだり、大阪市の「生きた建築ミュージアムフェスティバル」の関連企画として、建築や都市の新しい楽しみ方や見方を発見できるようなプロダクトや映像作品を提案するプロジェクトに取り組もうとしていたり、建物のようなハードをつくるというよりも、その場所をどう使うかといったソフトの部分を考えるチームなんです」。


おおさかカンヴァスに参加された理由はどうしてですか?

堀口先生「普段は建築関係のコンペに出すのが普通ですが、これは異種格闘技みたいで(笑)。でも都市に対する提案だから建築家としての力量が問われるし、思考の幅を広げるのにちょうど良いと思いました」。

岡田さん「2013年もコンペに出ています。中之島の剣先に道路のカーブミラーを100個ぐらい配置して、夕日をうつすという作品なんですが、負けました。場所で大小便小僧に負けて、鏡という意味で西野達さんのミラーボールカーに負けているから二重で負けた気がしました(笑)」。


今回の作品はどうやって選ばれたのですか?

山田さん「歩行者のための標識をつくったら面白いのではないか。歩行者の動きをうながすようなものはどうかというところから最初入りました」。

幸田さん「最初に考えたものはいろいろな規制があるようで。それで標識ではなく、ビル側の協力をもらって、ビルの看板として出したらどうか。そんなふうに変わっていきました」。

堀口先生「今さらっと言いましたがそのあたりに四苦八苦しました。警察協議で道路標識に似たものをそもそもつくっちゃいけないということがわかりました。商業施設の公開空地とか地下道とかも考えたのですが、現地に足を運んで何かつくりたいと考えました。試行錯誤の中から、企業が看板を出すのであれば問題ないだろうというアイデアが出て、それは直感的に面白いなと思いました。それから企業看板でもあり、歩行者向けのメッセージであるものをつくる挑戦がはじまったんです」。

幸田さん「没案を含めて全部数えたら300パターンぐらいつくっています(笑)」。

岡田さん「僕はスポーツメーカーのミズノさんの採用された看板が気に入っています。キャッチボールをしているんですが、大人とこどもでサイズが違うんですよ。四苦八苦していくなかで、この案のようにふたつでひとつをあらわすものが出たときは自分でもおもしろなと思いました」。

山田さん「これは僕だけの案ではないのですが石原時計店さんの、時計ネタと標識の丸い形を時計の形にしているものなどが思い入れがあります」。

幸田さん「僕はヒョウ柄のおばちゃんのデザインが気に入っています。歩行者標識という原案からいくつかガーデンシティに設置しているんですが、これはその中のひとつとして置いてあります」。

堀口さん「ひとつの企業に対して5〜15案ぐらい出しています。われわれのチームは企業さんと交渉はできないんです。最終決定権は企業さんにあります。最終決定を他者に委ねているという意味では、自分たちの作品なのだろうか、という思いはありますが、実は今回のプロジェクトの意味はそこにあるのかもしれないと思います。いろんな思いがからむことは、公共空間を市民が使うには当然のことで、まちを市民が使いこなせるようになるためのプロセスってこういうものなんじゃないかと思います」。