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2015.09.04

力石咲
カンヴァスちゃん、アーティストに話をきくの巻(力石咲さん編)

ハイパーニットクリエイター 力石咲さん
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東京在住の力石咲さんはニットを作品に扱うアーティスト。普段はいったいどんな生活をされているのだろうか。

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Googleハングアウトにてインタビュー。背景は自宅兼職場。

「小さい子どもがいるので朝の9時半ごろからアーティストとしての仕事を開始します。自宅がアトリエなのでここで夕方ごろまでずっと仕事しています。ニットを編んだり、考えることもそうですけども、だいたいここで制作していますね。起きれる時は朝早く起きて作業スタートです。昨日おとといあたりからおおさかカンヴァスで出展する船の作品に取りかかっています。過去で使った毛糸も今回使う予定です」。

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撮影:ただ(ゆかい)

力石さんはニットを編むのにあたって、針を使わず自分の腕を針代わりに使うことも多いそう。

「結構太い糸で、編み機で加工して太い糸にしあげたものなんですが、大きいものでもさくさく編めます。太い糸なのでモコモコ感もアップしていて、内容はまだ秘密ですが、面白いものになると思います。船は、自分としては、水の回廊を回游する鮮やかな魚や、時期的に考えて川面に浮かぶ落葉みたいなイメージで編んでいます。大きなものを編み包めるというのが太い糸の良い点なのですが、伸び率も普通の毛糸の比ではないんです。船という実物がないところで編んでいると、実際に船にかぶせたときに巨大だから伸び率がすごいだろうし、そういう難しさがありますね」。

毛糸を扱うのは今年で12年。ベテランですねと言うと本当のベテランの方は見なくても編めるらしく、編むのが遅いほうなんだそうだ。毛糸を作品に扱うようになったのはいつからだろうか。

「大学の卒業制作の作品からです。制作に入る直前に編み方を友だちから教わりました。素材をニットでやったら面白いかなと思ったのが単純なはじまりです。そこから卒業してニットって未知の領域だったので制作しようかなと思うようになっていって。

「もともと旅好きということもあって、観光しながら周囲にあるものをくるんでいったのが今のスタイルのはじまりです」。

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トラベリビング・プロジェクト2009 ゴールドコースト(オーストラリア)

ワークショップはこれまで、小さな子どもたちが対象だと編み物は難しいので「毛糸玉モンスターをつくろう」というものがあり、作業中に出る端切れを使う。いっしょにまちをインベージョンするワークショップもやっている。

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「COSMIC GIRLS」展 丸の内ハウス 撮影:杉山豪州 / Gottingham

そもそもおおさかカンヴァス2015の公募に応募されたきっかけはなんだろうか。

「アートフェア東京の関連イベントで今年3月にAMITというメディアアートのイベントがありまして、東京の丸の内エリアをニットで包むプロジェクトを出展していたんです。公共空間を編み包むという活動はそれまでもやっていたのですが、街をインベージョンするという規模のプロジェクトはこれが初めてで、もっとやっていきたいと強く思うようになりました。そんな折、AMITを見てくださったアートが大好きな親子のお客様が『大阪でもそういう街に出展できるプロジェクトがあるよ』と教えてくださって。それがおおさかカンヴァスでした。AMITでは、エリアを管轄しているところとの交渉が難航しました。ニットで街を包むということが当然ですが想像しにくいことですので、イメージ図を見せたり、安全面に関して大丈夫かというリスクに対してどう対処するか、どうしたら納得してもらえるかを考える作業が多かったです」。

中之島公園近辺や道頓堀と、大阪の中心部で作品を同時展開させていく今回の「ニット・インベーダー in 水都」は、おおさかカンヴァスにとっても力石さんにとっても大きなチャレンジとなる。今後はどんな展開を考えておられるのだろうか。

「その土地ならではの特色をうまくいかせるように、今後もいろんな地域をインベージョンしていきたいです。今回は水都というテーマをあげているので、ここでしかできないようなプロジェクトにしたいと思っています」。