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2015.09.04

水中の便利屋
カンヴァスちゃん、アーティストに話をきくの巻(BIFUさん編)

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水中の便利屋 BIFUさん

水中の便利屋であるBIFUさんはプロの潜水士でアーティストではない。だが今回の作品「水面下で働く人 ~underwater office~」は審査員のみなさまから絶大な支持を得ていた。

「街頭に出現した透明水槽の中で大真面目にデスクワークをするという意表を突くアイデアだが、メンバーの職業を考えればごく自然な発想で、その真っ当さがかえって通りがかりの市民の爆笑を誘うに違いない」(建畠審査員)
「アイデアをイメージ化するにあたってクリアな発想力を持っており、強いコンテンツになるな、と直感した」(ヤノベ審査員)
「説明がつかない。理由がわからない。アーティストではない「たたかう潜水士さん」が考案した作品。これが実現すれば間違いなく今年の目玉作品となるだろう。「THE」おおさかカンヴァスと言えるインパクトを見てもらいたい」(塩山審査員)

いったい何者なのか。まずはどういうきっかけで潜る仕事をはじめたのか、そのあたりからお聞きしてみた。

「アドベンチャーワールドのイルカショーを見てからなんですよ。20歳ぐらいで見に行ったんですけど『イルカにさわりたい人は手をあげてください』と言われたので全力で手をあげていたんですけど、ちっちゃ子にしかあててくれなくて(笑)。そらそうですね。それでイルカに触れるところを調べていたら和歌山の太子町のほうでイルカにさわれるところがあるらしくて。行ってみたらマスクとかタンクとかしょわされまして。イルカと遊びましょうというところだったんですが、潜ってみたらイルカよりも潜る魅力に取り憑かれました」。



その後、ダイビングのインストラクターをはじめ、最初はダイビングショップの中の作業部門というBIFUさんひとりの部署で働いていた。今は会社をわけて、グループ会社となっている。

現在の仕事内容は主に船底のメンテナンス・プロペラに巻き付いたロープの撤去といった船底にまつわる業務をはじめ、水中探索、水族館の水中清掃、TVロケのお手伝いから工事・調査関係の水中状況写真のサポートもしている。



お仕事の魅力はどんなところなのだろうか。

「仕事内容にもよりますが、潜れない人から頼まれることが多いので非常に感謝されますね。最近はジェットスキーが沈没したから引き上げてほしいという依頼が増えました。最近ではGoPro(探検で使うようなウェアラブルカメラ)を落としてしまう方が多く、だいたいの落ちた場所だけ教えてもらってロープとか木の枠を使って探しますね」。

不法投棄で自動販売機が水中に落ちていたときもあったそう。

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そんな水中のプロであるBIFUさんは、なぜおおさかカンヴァスに応募されたのだろうか。

「以前、水族館の水槽の掃除をしていたのですが、そこの水族館ではお客様がいる時間に作業していました。僕らが潜る毎週金曜日にあわせて遠足を組んだりされていたのですが、ちっちゃ子がきてくれていました。外から手をふってくれるから振り返していたんですけども手を振りすぎていまして。クライアントからちゃんと掃除してくださいと言われたりして、その頃から堂々と潜ってパフォーマンスできる場所をつくりたいなと思っていました。それでたまたま友だちがFacebookで公募情報を流してくれていたのを見て応募したんです」。

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水中でパフォーマンスがしたいという思いの裏にはある思いがある。

「僕らがレジャーのインストラクターやっていた頃から時間もお金もかけたわりに行き着く先が遊びとしてのインストラクターしかなかったんです。あるいは今の自分のような仕事です。レジャーとして遊びできたお客さんが作業ダイバーになるという選択肢はあまりにないと思います。ただ、道がレジャーか作業ダイバーのふたつしかないのはさみしいなと思っていて。それでさっきの水族館の話に戻るのですが、レジャーと作業ダイビングとパフォーマンスという道がつくれないかと思っています。実際、グループ会社のレジャー部門のほうは15人ぐらいスタッフがいるんです。作業ダイバーは社員としては自分ひとりで、たまに手伝ってくれているのは潜りの道を離れた友だちたちが手伝ってくれています。彼らが戻ってこれる場所をつくりたいと思っています」。

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まさかのきっかけで応募されたBIFUさん。おおさかカンヴァスでは、得意な潜水を生かしたパフォーマンスを行われる。BIFUさんが新しい道のパイオニアになる日がくるかもしれません。