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2014.10.03

BMC(ビルマニアカフェ)の高岡伸一さんが語る、御堂筋沿いのオススメビル5選

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今回のおおさかカンヴァスの舞台は御堂筋ということもあって、作品の設置場所は多くがビルになります。そこで今回は、生きた建築ミュージアムに関わり、BMC(ビルマニアカフェ)のメンバーでもあるビル好きの高岡伸一さんに御堂筋沿いのオススメビルを教えていただきました。

「まず御堂筋のビルを語る上で外せないのは日本生命本館と大阪ガスビルと御堂ビルですね。この3つは生きた建築ミュージアムにも選ばれているのですが、建築の歴史上重要で、各時代を代表するビルですから専門家に聞けば必ず同じ答えが返ってくると思います」。


大阪ガスビル

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「一番古いのは大阪ガスビルですね。南半分は戦前につくられて、北半分は戦後につくられています。北側の土地を後から増築したんです。この時代を代表する建築家、安井武雄さんが手がけたもので、半分はそのお弟子さんがつくっています。師匠のデザインを尊重しながらも、新しい時代のデザインがほどこされているのが特徴ですね」。


日本生命保険相互会社本館

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「1889年に創立された日本生命は、1902年に現在の地に本店を構えて以来、1世紀以上もこの地で営業を続けています。今の建物は北半分が1938年につくられ、途中で戦争がはじまってストップしていたのですが、1962年に南半分が完成しています」。


御堂ビル[竹中工務店大阪本店]

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「御堂ビルは戦後の1965年にできた竹中工務店のオフィスビルです。御堂筋沿いのビルは御堂筋に面した面が正面で、そこに全力投球するのが普通ですが、この御堂ビルが面白いのは”四面がすべて正面だ”という考えのもとにつくられているんですよ。それと外壁に茶色いタイルを使っているんですが、もともと有田焼で焼いたタイルがこの時代の竹中工務店には多く、機能性ばかりが重視される時代の中で焼きものの風合いを重視したところに当時の姿勢が感じられます」。

この時代、御堂筋のビルには31メートルの高さ規制がある中(大阪ガスビルも日本生命本館も31メートル)、御堂ビルは9階建てにすると高さが少し足りないところ、1階を地面から少し下げているそうです。

また、高岡さんの個人的な好みとして、ほかの2つのビルをご紹介いただきました。


朝日生命館

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「金属素材を外装に使うのはこの時代のビルの特徴のひとつなんですが、朝日生命館は外観がアルミなんです。窓の角が丸いのも魅力なんですが、これ実は電車の窓なんですよ。これを見るとこの時代の設計者が何を考えていたかが伝わってきます。高度経済成長期って新幹線やマイカー、飛行機など、乗り物が時代を引っ張っていましたが、そういったスピードやプロダクトとしての高さに対する憧れが感じられます。建築も工業化を追い求めていました。

そして今、外装はシルバーですが、かつては金色だったんですよ。退色して色が変わったんです。たぶんイチョウの色にあわせたんじゃないでしょうか」。


旧三和銀行本店

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「もうすぐ解体されてUFJの超高層ビルができる予定です。1960年代のビルなんですが、信頼と威厳が求められる銀行建築のひとつの戦後における完成形だと思います。合理的なのですが、クラシックな古典様式の重厚さが感じられますね。垂直性を強調する四角い柱の連続は、古典様式におけるオーダー(円柱)のなごりですね」。



今回お話をお聞きした高岡伸一さんの著書はこちらです。

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