スイッチを押すと始まる演劇
スイッチを押すとなにかがおこる、3~30秒の小さな演劇“スイッチ”。スイッチを押した参加者は一瞬で物語の観客あるいは主人公に。この“スイッチ”を街のあちこちに仕掛け、敷居ゼロの劇的空間をその場に生み出すプロジェクト。今回は道頓堀の水辺に独特の風情と趣きを発見した彼らが、その場所性を読み込んだ様々な“スイッチ”を繰り広げる。“そう来たか!”と大阪の人に思ってもらえれば…と意気込んでいる。
■協力
KUNIO、クロムモリブデン、象の鼻テラス、づぼらや 道頓堀店、東京デスロック、ナイロン100℃、ニッポンの河川、ままごと、劇団、本谷有希子
■作品制作・発表に係る主な経緯
8月上旬 公演時間・公演回数決定
8月中旬 WEBにて出演者募集開始
8月下旬 ・演目一部完成
・作家来阪、公演に向けての現地創作
9月上旬 ・大阪にて非常勤研究員オーディション
・道頓堀現地調査、公演に向けての現地創作
9月下旬 近隣店舗への協力依頼交渉
10月中旬 ・作家大阪入り 打ち合わせ(本番までの段取り)
・本番の打ち合わせ
・公演当日配布マップ作成
10月15日(木) 道頓堀スイッチ リハーサル
10月16日(金) 道頓堀スイッチ 1日目
10月17日(土) 道頓堀スイッチ 2日目
10月18日(日) バラシ作業
■協議先
・南海電気鉄道株式会社とんぼりリバーウォーク事務所(道頓堀)
■経過写真
9月1日(火)
非常勤研究員オーディション
オーディションに参加された方にレクチャーする作家のふたり。
9月2日(水)
道頓堀現調
役者の動きや導線を確認。
10月16日(金)・17日(土) 道頓堀スイッチ本番
串カツがスイッチに
思わぬ展開に、参加してくださった方も大笑い。 お好み焼きもスイッチに
■作家インタビュー
自分たちが信じるものを、相手の立場も想像しながら、実現していく。
Q今回の応募動機はなんですか?
スイッチが生まれたのは、劇団ままごとが横浜の象の鼻テラスで行った企画からでした。その象の鼻テラスの方たちが、おおさかカンヴァスという公募があるよと教えてくださったんです。
応募要項に「好きなものを武器にしてまちに出て戦え!」と書いてあり、アートやデザインの概念をつぶすぐらいの勢いでなぐりこんできてほしいというヤノベケンジさんのメッセージにまんまと煽られまして、すごく新しいことができるんじゃないかと思って応募しました。
Q今回のテーマがたたかう芸術祭というタイトルですが、実際に戦ったポイントはどんなところですか?
ひとつは自分たちの限界と戦いました。おおさかカンヴァスの作品にかぎらず、及第点を目指したら及第点以下のものしかできないと思っています。常に新しいことができるようになりたい。あきらめない。同時に、相手の立場も考えて、今回でしたら大阪府やまちの方やカンヴァスのスタッフさんやいろんな立場の方がいらっしゃるので、そのことを想像しながら、かつ、信念はゆずらないでやろうと。
もうひとつ戦った、というか、実現させたい、と思ったことがあります。それは、作家にもフィーが払われるようになること。
おおさかカンヴァスの規則に、作家にフィーが払われないというものがあります。なぜそうなのか読んだ限りではわからなかったのですが、税金を使っているので、かたちがないものには払いにくい、ということだろうなと想像しました。
自分たちが信じるものを実現するということをぶれずにやった結果、「すごく面白い!」「これなんなんだろう?」「おおさかカンヴァスという企画なんだ。大阪府すごいじゃん。けっこうやるね。まちでこんなことを許すなんてかっこいいね」となればうれしいと思っていて。
そういうことの積み重ねで俳優である私たちがつくるかたちのないもの、ー情熱、信念、衝動、イマジネーションー、そういうものにもお金を出してもいいと、例えば来年でも再来年でも、いつかそうなっていけばいい。規則を変えるぐらいの意気込み、それぐらいの気概が必要だと考えました。出演者には2015年からフィーが払えるようになったと書いてあるのを見て、いろんな立場で戦っている方がいるんだなと非常に共感し、また、一緒に戦っていけると思いました。
Q実際に公演をやってみてどうでしたか。
2日間で5ステージやらせてもらったのですが、意外にも関西の方はシャイなんだなと思いました。東京のほうがもっとスイッチを押しにきてワーワーとなるんです。人通りも関係があるかもしれないですが、結構シャイで遠巻きにみたりしておられました。
それで大阪府の方が「もっと大勢の方に見ていただけたらうれしいので場所を変えてみませんか、すぐに許可をとるので」とおっしゃってくださったので、設置の仕方を変えたんです。そしたらたくさんの方がスイッチを押してくださって。大阪では起こるんじゃないかと想像していた、いい意味での悪ノリというか、お客さんのアドリブがどんどん出てきたんです。お客さんが演技をして俳優といっしょに遊んだりして、それが楽しかったですね。
道頓堀でしかできないことをしたいと思っていて、場所や風景を利用したスイッチとか、お好み焼きや串カツのスイッチなどを上演し、とても喜んでいただけました。大阪の方も、旅行できている方も、外国の方も、色々な方が声をかけてくれて、とってもうれしかったです。