大阪の川が巨大な回転寿司に
“天下の台所”大阪、回転寿司発祥の地としての大阪をテーマに、川面に寿司オブ ジェを流すことによって、川を巨大な回転寿司の舞台にしてしまおうというプロジェクト。江戸時代、淀川を航行する旅人に「飯くらわんか~」と船で食べ物を売っていた「くらわんか舟」が繁盛していた歴史や、回転寿司が大阪万博で披露されたのを契機に全国に広まったことなど、食・大阪・寿司・舟を巡る文化的背景をかなり強引に結びつけて作品化した背景には、作者の誰にも負けない深い“寿司愛”と“大阪愛”がある。
■協賛
株式会社梶川工作所、株式会社ポップ工芸
■協力
株式会社アートネクサス、近江屋ロージュ、日本シティサップ協会
■作品制作・発表に係る主な経緯
大阪には水都として河川や船着場等のインフラ整備を積み重ねてきた蓄積がある。その成果をアートでビジュアル的に活用することによって、水都の魅力を広く発信できた。
→水門が設置された結果、水位調整された水域が存在するため、「ローリング
スシー」の寿司オブジェを安定して曳航することができた。
→河川沿いに遊歩道が整備されているため、来場者が水面近くまで降りて作品を
間近で鑑賞することができ、臨場感と感動を巻き起こすことができた。
8月中旬 ・作家、造形業者との打合せ
・オブジェ図面完成
8月下旬 曳航担当者との打合せ
8月下旬〜9月上旬 スシオブジェ制作
9月9日 道頓堀で曳航テスト
10月3日 曳航(朝/晩)
10月4日 曳航(朝)
10月5日〜16日 中之島ゲートでの作品展示
10月17日 曳航(朝/晩)
■協議先
・扇町公園事務所(中之島公園)
・南海電気鉄道株式会社とんぼりリバーウォーク事務所(道頓堀)
・一般社団法人水都大阪パートナーズ、株式会社フィッシャーマンズマーケット
(中之島GATE)
・一本松海運株式会社、大阪水上安全協会、大阪水上バス株式会社
■オブジェ制作過程(8月25日〜9月3日)
長方形の発砲スチロールを削るところから作品づくりがスタート。
曳航テスト(9月9日)
早朝から作品を道頓堀川に着水させ、思うように動かせるかの実験を行った。
台風が接近し、雨が降りしきる中、寿司オブジェ5つを無事に連結し、曳航することができた。
中之島ゲートでの作品展示設営(10月5日〜16日)
曳航(10月3/4/17日)
日本シティサップ協会のスタッフのご協力により、進路を巧みに調整しながら、オブジェは流れていった。
(協会代表の奥谷さん、大活躍!!)
観客の皆さんには吉野杉割り箸を配布し、スシーをつかんでもらうポーズで記念写真を撮ってもらった。
夜の道頓堀は観客が多く詰めかけ、自撮り撮影している方が多く見られた。
■作家インタビュー
スキルなし!人脈ゼロ!ものづくりとの戦い、台風迫る中の実験で感動。
Q今回の応募動機はなんですか?
友だちがおおさかカンヴァスのポスターをもってくれたのがきっかけでした。うちはPR会社なので面白そう、ここで一旗あげてやろうと思いました。お寿司のアイデアは中之島あたりを歩いていたときにふと川を見て、ここにお寿司が流れていたら面白いなと思いまして。
Q実際に戦ったポイントはどんなところですか?
何ひとつつくったことがなくて、最初に大阪府の方に発泡スチロールでつくった模型を見せたところ、こんなおもちゃみたいなものは出せませんと言われたところからがスタートでした。
まずはつくれる人とつくれる場所を探す戦いでした。実際にお寿司をつくってくださった会社がポップ工芸さんという大阪の会社です。
つくるお手伝いをしてくれた学生さんたちには制作に入る二日前に、とあるイベントで声をかけました。ギリギリでしたが、作業に一ヶ月はかかると言われたところを2週間でつくることができました。
Qいろいろミラクルがありましたね。
お寿司のデザインに協力いただいたのが、iPhoneケースをつくられている梶川工作所という名古屋の会社です。連絡してみると「ちょうど明日大阪に出張するから会おうよ」と言ってくださって、iPhoneケースをいただいて、トントン拍子で協賛までしていただきました。今着ている法被ですとか、作品展示当日のお箸ですとかを作成していただきました。
Q昨日の本番では赤出しを振る舞うパフォーマンスをされていましたね。
赤出しに関しても、保健所の許可が出たもののどこでつくろうかというときにまた救世主があらわれまして、アートネクサスの渋谷さんという近江牛のお店を経営されている方に全面協力していただき、乗り切ることができました。
Qみなさんの努力の結晶がローリングスシーになっているのですね。本番までに実験されたときはどう思われていましたか?
ちょうど台風が接近して警報が出るかもという状態だったのですが、朝5時半に道頓堀に集合して、ローリングスシーをせっせと運んで高低差2m半ある川に着水させました。それがヒヤヒヤもので、いつお寿司が割れるかと心配でした。
雨の中の曳航だったのですが、サップ協会さんにご協力いただいたおかげで、お寿司のUターンの部分もうまくいきました。
道頓堀の橋を行き交うサラリーマンの方がパッと見て二度見している様子を見ると、ウルッときました。
当日の本番は10月3日の夜にすごい動員がありました。戎橋を越えてパッと明るいところに出たら、沿道にみなさんが待ってくださっていて。そのときはやって良かったなと思いました。何かトラブルが起きないでほしいと願いながら人員の誘導をしていました。
Qお寿司は中之島ゲートに展示し、ラスト2回の曳航が残っていますが、どう考えていますか?
最後の一日は違ったものを仕込んで全員に楽しんでもらえるようにしたいです。